【解説】神棚とお札の飾り方。順番や場所、向きといった基本情報のすべて

神棚は一般家庭にて設置するものと思っている方も多いですが、実際には企業のオフィスなど多くの場所で設置されています。

近年、若い年代の人は家に神棚などがなく、「神棚って必要なの?」と思うこともあります。
神棚は新しく家を建てて引っ越したときやこれから事業を行うため、神棚を設けたいと思う人も多いのですが、神棚を買ってみて知識がなくてどうやって設置したらいいのかわからないと頭を悩ませている人も多いです。

神棚を設置するときは清祓いという儀式を行ってから設置するのがおすすめです。
儀式には費用が必要なのですが、新築の家を建てた場合や新たに事業を行うため神棚を設置したいというときは、きちんと儀式を行ってから神棚を設置しましょう。

ここでは神棚を家庭や企業にて設置するときのおすすめの場所や飾り方、お札の並べ方や御供物、参拝方法などについて詳しくご説明します。

神棚の飾り方って?

そもそも神棚とは、八百万(やおよろず)の神様を祀る棚のことを意味していて、一般的に普及し始めたのは江戸時代以降と言われています。当時はお伊勢参りなどが盛んになり、伊勢神宮のお神礼を祀るのが一般的に普及していきました。

神棚は家庭や企業に小さな神社を設けるようなもので、家内安全や商売繁盛、無病息災などを祈願したり、御供物をしたりして日々のご加護に感謝するものです。

神棚は神様を祀っているため神棚の飾り方やお礼の並べ方、お札の順番や設置の仕方にもきちんとしたルールがあります。
ルールに沿って神棚を設置しないと罰が当たるとも言われているので、神棚を設置する際はまず清祓いという儀式を行い、神棚を配置する場所や飾り方、祀り方などに間違いのないよう、ちゃんとした知識を持って神棚を設置しましょう。

お札の並べ方

神棚には一社造りと三社造りなどの種類があり、種類によってお社ごとに収めるお札が違うので注意が必要です。
最も一般的な神棚は三社造りと呼ばれている種類で、ホームセンターなどでもこのタイプの神棚が販売されています。

お札についてはお神札に巻いてある薄紙を上巻紙と言い、お神札を各家庭の神棚に祀るまでお札を清潔に保つもので、神棚に設置する際は上巻紙を取り外して並べるのがポイントとなります。

お札の種類は大きく分けて3枚で、「神宮大麻」、「氏神大麻」、「崇敬神社」があります。お札の並べ方についても順番があり、神棚の形によって並べ方も異なります。
一社造りの場合は手前から神宮大麻、氏神大麻、崇敬神社の順番に重ねて、3枚を神棚の札差に立てかけて祀ります。

一方、三社造りの並べ方は中央の扉に神宮大麻、向かって右側に氏神大麻、左に崇敬神社の順番で3枚のお札を神棚に祀ります。

また、神棚の種類によっては扉の付いていないものもあります。
扉の付いていない神棚を購入した際は特にお札の並べ方に対する順番などはないので、そのまま丁寧に3枚のお神札を棚に並べて祀りましょう。お札が3枚ないという場合も基本的な並べ方は同じなので、種類に合わせてお札を祀りましょう。

お札を立てて並べてもすぐに倒れてしまうという際は、札差を使ってお札が倒れないようにするのがおすすめです。札差があればちょっとした揺れなどではお札が倒れなくなるので、お供え物を置くときや掃除をする際にも便利です。

また、お供え物をするときに必要な「水器」や「徳利」、「お皿」などに関しても、ある程度決められた場所があるので、お札だけでなくお供え物を設置する場所なども1つの知識として持ち合わせておくといいでしょう。

神棚そのものの配置について

神棚の配置・飾り方については方角に注意する必要があります。神棚は正面が東向き、または南向きの方角になるように設置するのが良いとされていて、目線よりも高い場所に設置しましょう。
目線よりも高い場所に設置する理由としては、神様を敬う気持ちを表しています。

また神棚は方角だけでなく、なるべく人が通らない場所に設置するのが好ましいと言われていて、一般的には1階のダインニングルームやリビングなどに設置するケースが多いです。

トイレの近くや人が行き来することが多い玄関先などに設置するのは神様も嫌だと感じてしまうので、あまり人が行き来しない場所を選び、方角をきちんと調べて目線よりも高いところに設置しましょう。

日本では家に仏壇がある家庭もあと思うのですが、神棚は神様を祀っている場所なので仏壇と向かい合うような形で設置することは好ましくありません。家に仏壇があるという場合は神棚と仏壇を設置する場所を離したり、仏壇の位置をずらすなど向かい合わせにならないよう配置や飾り方に注意しましょう。

また、神棚を設置するときは神棚の他にもいくつか必要なものがあるので、神棚と合わせて購入しておくとスムーズに設置できます。

神棚を設置する際に必要なものその1:水器(すいき)

水器とは水を入れるための器で、別名「水玉」とも呼ばれています。
一般的には白い陶器の器や素焼きの器などを使ったりすることもあり、形も丸いものや蓋が付いているものなどもあります。

神棚を設置する際に必要なものその2:徳利(とくり)、瓶子(へいし)

徳利と瓶子は神様にお酒をお供えするための道具で、徳利は組が細くなっているお酒の容器です。
神棚に飾る際、便利なアイテムとしては徳利が好まれているのですが、神様にお酒をお供えする際の道具としては瓶子が好まれています。

神棚を設置する際に必要なものその3:皿

皿はお米や塩などをお供えするための道具で、水器と同様白い陶器や素焼きなどを使うことが多いです。お皿は大きさも様々なのですが、神棚の広さやお供えするものをよく考えて、適切なサイズのお皿を用意しましょう。

神棚にて使用する皿は普段家庭で使っているものではなく、神様にお供えするものという意識をもち、普段使いしているものと分けて用意するのがポイントです。

神棚を設置する際に必要なものその4:三方(さんぼう)、折敷(おしき)

三方と折敷はお供え物を並べるお膳のようなもので、三方は折敷の下に台が付いているものを表しています。
三方の台座には3つの穴が開いているのに対し、折敷は代の付いていない平らなお盆のような形をしているのが特徴です。

神棚を設置する際に必要なものその5:しめ縄

しめ縄は神棚の前の部分に掲げるもので、神聖な部分と外の世界を隔てる役割があります。しめ縄にも「大根しめ」や「牛旁しめ」などがあり、向きも「左綯え」「右綯え」があります。

神棚のしめ縄を選ぶときは左にねじってある「左綯え」を選び、紙垂と呼ばれる紙を下げ太い方を右側、細い方を左側にして神棚に飾りましょう。神棚のしめ縄は年末に新しく付け替え、1年を通して飾り続けるのがポイントです。
しめ縄はお正月シーズンであればスーパーやホームセンターなど身近なところでも購入できます。

神棚を設置する際に必要なものその6:神鏡(しんきょう)

神鏡は神様の依代になり、置き方については神棚の中央にある扉の前に設置します。
また、神鏡は神様が宿るものなので定期的に掃除し、常に清潔な状態を保つ必要があります。

御供物について

神棚にお供えするものについては水や塩、お米やお酒などを御供えするのが一般的なのですが、魚や野菜、果物などを御供えすることもあります。

水をお供えするときはその日で一番初めに使う水をお供えしなければなりません。これを「初水」とも言い、洗濯や料理、歯磨きなどで水を使ってしまうと初水にならなくなってしまうので、起きたらすぐに水をお供えしましょう。

水を変えるタイミングとしては基本的に毎日交換するのが好ましいと言われています。
水の交換は塩やお米などとは違い手軽に交換できるものなので、毎日欠かさず初水をお供えしましょう。

また、塩をお供えするときは粗塩をお供えし、粗塩がどうしても手に入らないという場合は食塩を一度水に溶かしてから火を入れ、煮込んで粗塩を作ってみるのもいいでしょう。

お米の場合は炊いたもの、炊いていないものでも問題はないのですが、炊いてないものだとお米に汚れが付いていることがあるので、洗って乾かしてからお供えする必要があります。炊いたお米を神棚にお供えするときは誰も手を付けていない炊き立てのご飯をお供えするのがポイントです。

神棚のお供えものに関しては1日・15日を豪華にするのが一般的で、水や塩、お米に加えお酒も一緒にお供えします。
また、1日・15日の他にも家族の誕生日や就学などイベントや大きな節目が訪れたときにも、神棚にお酒をお供えし日々のご加護に感謝しましょう。

神棚には水や塩、お米やお酒などの他、魚や野菜、果物などをお供えすることもあります。川の魚をお供えするときは背びれを神様に向けてお供えするのがポイントで、海の魚はお腹の方を神様に向けてお供えするのがポイントとなります。
また、野菜や果物についてはそれぞれの頭を正中向き、出来るだけ鮮度の高いものをお供えするようにしましょう。

御供物についての注意点その1:お供え物をそのままにしない

神棚にお供えした食べ物などはそのままにしないようにしましょう。
お供えしたまま放置してしまうと、粗末にしているということで神様に対して大変失礼に当たります。

御供物についての注意点その2:お供えしたものはなるべくいただく

神棚にお供えしたものはある程度時間を置き、その後家庭で美味しくいただきましょう。神棚にお供えしたものは神様からの「いただきもの」となるので、粗末に扱ったりゴミとして捨ててしまうことないように気を付けましょう。

参拝方法

神棚を設置しお札を納め、お供え物の必要なアイテムを揃えたら、神棚は完成です。

神棚への参拝方法は神棚に向かって2拝二拍手一拝が基本となります。
参拝するときは手や口を清めて姿勢を正し、神様に向かって深くお辞儀を2回行います。その後、拍手を2回打ち、合掌とは違い指をずらして音を出した後、神様に深くお辞儀を1回して参拝完了となります。

参拝は出来るだけ毎日行い、神棚に汚れやホコリが付かないよう出来るだけ小まめに掃除しましょう。

お札に関しては1年に1回取り替え、お札をもらった神社に感謝の気持ちを込めて返しましょう。お札を1年に1回取り替えるのは新しい1年を平和に暮らせるよう、新しい御霊が宿ったお礼を受け、新たらに神棚に祀ります。

神棚の取り替え時期については一般的に5年、10年、15年となっていて、5年区切りで神棚を取り替えるとされています。5年区切りで取り替えない場合でも長くて20年に1度は神棚を新しくした方がいいと言われています。

古くなった神棚を処分するときは神棚の種類によって処分方法を見極めましょう。
神棚に魂が入っているものであればゴミとして処分するのはNGとなります。この場合は近所にある神社などでお炊き上げしてもらうのが一般的で、近くに神社がないという場合は小正月の「どんど焼き」などで一緒に焼いてもらったり、丁重に梱包してお炊き上げしてくれる神社などに送りましょう。

魂が入っていないものはゴミとして処分することも可能なのですが、これまで家庭が円満で病気をせず元気に過ごせていたことを考えるのであれば、神社や専門の業者に処分を依頼するのが好ましいと考えられます。

可燃ゴミとして出す場合はサイズを確認し、紙などに包んで丁寧に扱い、可燃ゴミとして処分しましょう。神棚はサイズによって可燃ゴミで出せないものもあるので、30センチを超えるものに関しては粗大ゴミとして処分しましょう。

神棚飾りは意味を確認して正しく行いましょう

神棚の基礎知識について飾り方、お札の並べ方や御供物、参拝方法などについてご紹介したのですが、いかがだったでしょうか。
神棚には意外といろんなルールがあり、飾り方やお札の場所なども決められたルール・順番があるのでそれに沿って飾る必要があります。

神棚は神様を祀っている場所なので定期的に掃除が必要なのですが、身近に見守ってくれる存在がいると考えれば、毎日参拝して家内安全や商売繁盛を祈願できるので、家庭に神棚を設置するというのも悪くありません。

神棚は5年区切りで取り替え、20年程度で新しいものに変えるのがおすすめです。古い神棚は神様の罰が当たらないよう、神社などでお炊き上げしてもらい、丁重に処分するのがおすすめです。

飾り方や配置などにはたくさんの意味があります。
意味を確認することでより適切な神棚飾りができるようになりますので、しっかりと確認をしておきたいですね。