町民の暮らしの道具から伝統工芸へ

江戸切子とは、江戸時代末期から現在まで、江戸/東京都で生産されている切子加工をされたガラス製品の総称です。
1985年に東京都指定伝統工芸品に指定、また2002年には経済産業大臣指定伝統的工芸品として認定されています。
江戸時代後期、ビードロ問屋を営む加賀屋久兵衛らが、南蛮人により持込まれた海外のガラス製品に、切子細工を施したのがはじまりといわれています。
歴史やその頃に培われた技術が、現代に至るまで「江戸切子」として伝承されています。


江戸切子の風情と技

東京・墨東地区は昔から江戸切子職人が多く集まり、ガラスの表面を削る特有の音が、下町の江戸風情をうかがわせていました。
日本人は光と影、ことに自然光の扱いに長け、太陽の光を庇や障子で和らげ室内に取り入れるという、鋭敏な感覚を備えていました。
深い溝で光を屈折させ、細い線を集めて反射効果を持たせ、時には、曇りガラス状にして和らげるといった、光を知っているからこそできる技が「江戸切子」には詰まっています。