おばけの金太

黒い鳥帽子に赤い顔。
頭の中の部分に竹バネを仕込み、紐を引くと目玉がひっくり返り、長い舌をペロリと出すカラクリが仕掛けられています。

加藤清正が熊本城を築く際、人を笑わせることが上手で「おどけの金太」と呼ばれ人気者だったという足軽の金太の伝説を発想に、
19世紀の中頃(嘉永年間)、人形師の西陣屋彦七(にしじんやひこひち)がカラクリ人形を作り出したのが原型とされ、
後に「おばけの金太」(別名:目くり出し人形)と呼ばれるようになりました。


伝統工芸において後継者育成は、どの分野においても深刻な問題です。
「おばけの金太」も、10代目の厚賀新八郎さんのほかに、製作者がいない状況が続いていました。


父親から息子へと受け継がれる「おばけの金太」作り

2018年息子の厚賀新太郎(本名は俊男)さんが、11代目となり、金太作りを受け継ぐことになりました。
単純な作りにみえる「おばけの金太」は、木と紙を胡粉(ごふん)と膠(にかわ)で形作る、伝統の人形作りの技術を駆使して作られています。
2018年3月に熊本市内で開かれた展示会でデビューを飾った新太郎氏によって、今後も変わらぬ「おばけの金太」の姿と再会することができるでしょう。